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金が…

金庸著「連城訣」上下巻読了。
いやぁ、主人公が最後に一応幸せになってよかった。
だってあんな良い奴が不幸なままでいるなんておかしいもん。
ラストの続きが凄く読みたいんだが、
それは読者各々の心の中で、って事で。

この作品は、実話を元に書かれたそうだ。
泥棒の濡れ衣を着せられ、
その時に殴られまくって背骨が曲がり、
嫁は仇に奪われた人物が金庸の知り合いにいるそうで。
その人は結局、なんとか生活は出来ていたものの、
幸せな人生を送ることが出来なかった。
だから、金庸はこの作品で、幸せにしたのだろう。
天才肌でバリバリ働く仕事人間金庸の、
人間らしさを垣間見ることが出来ました。

他に見るべき点としては、血刀老祖という悪僧だ。
金庸作品には珍しく、純粋な悪の人間である。
大体、悪役っていうのは、
権威や金、武力を欲して争いを起こすのだが、
血刀老祖はただ殺したいから、犯したいから、
そういう子供のような理由で悪を振舞う。
かといって、サイコパスのような狂人の面はない。
全く普通の顔で、やりたいようにやるのだ。
まことに痛快ではあるが、
やってる事がやってる事なので、
素直に感情移入は出来なかった。

だが、この血刀老祖を金庸No1悪役に挙げる人もおり、
俺も、それだけの魅力は十分にあるとは思う。
とんでもない強さを持ち、何の裏表もなく悪事を働く。
そんな自由さに、惹かれるのかもしれない。

つーことで、またも激しく面白い小説だった。
金庸作品に今のところハズレが無い。
今後もバンバン読んでいこう。
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trackback(0) | comment(4) | 2008/09/11 Thu

連城訣

ということで、早速本屋に行って買ってきました。
今回は、「連城訣」という作品です。
金庸作品の中でも最も悲惨な主人公。
次々と降りかかる陰鬱な展開。
なので、賛否両論あるようで。

上下巻の上巻だけ読み終えたんだが、
本当に可哀相。
基本的に運が悪いんだが、
やることなすこと全部裏目に出るっていう。
なまじ主人公が良い奴なので、余計可哀相。
右手指全部切り落とされたり、
左足砕かれたり、
肩甲骨に穴開けられたりもう散々すぎる。
おまけに尊敬した師父に裏切られ、
恋焦がれてる娘は仇に奪い取られて。

唯一の救いは、まず主人公の善性。
死にたくなる程悲惨な目にあっても、
それでも善心を失わない。
これでどんどん捻くれてったら
もう読むの辛すぎるぜ……。

あとは、ただ1人の知己、丁典の存在。
こいつの為に、頑張ってる部分もある。
読者からしたら「お前がいてよかった!」
と感謝せずにいられない。

下巻ではどうなるのだろう。
ちゃんと主人公は幸せになるのだろうか。
事件は解決するのだろうか。
短編だが、金庸の味はばっちり染みている。
楽しみです。
trackback(0) | comment(0) | 2008/09/05 Fri

秘曲笑傲江湖

金庸著「秘曲 笑傲江湖」全七巻、読了!
読み終えちゃったよ~……。
もし記憶がリセット出来るなら、
金庸小説を読み始める前に戻したい。
そしてもう一度読み直したい。
そのくらい、この「笑傲江湖」も大傑作だった。

主人公は令狐沖という青年。
華山派の一番弟子。
まぁ例によって、モテる。
が、他の作品と比べて、控えめ。
ちょっと可哀相な恋愛ばかり。
弟弟子に取られた挙句に死なれるわ、
対立派閥のお嬢さんだわで、なかなか障害だらけ。
結局はちゃんと幸せになったけどね。

そして、これまた例によって強い。
射シリーズにしろ今作にしろ、
何故か主人公は大概毒によって生死を彷徨う。
解毒の為に何らかの内功術を会得するんだが、
その術が大体とんでもない超絶武術である。
今回も解毒の為だったり、
偶然だったりで超絶内功術を会得。
さらにまた偶然に、超絶剣術も会得。
マジでチート。
まぁそのせいで、武林の面倒に絡まられるんだが。


今作主人公の令狐沖は、自由奔放な性格。
おまけに酒好きで、痛快な青年だ。
その上、きっちりと義侠心は備わっており、
英雄好漢の素質に満ちている。
欠点は酒狂いという事くらいだが、
その酒好きもと豪放さも手伝って
さまざまな分野の人種と親交を結ぶ。
巷には政治的野心を秘めた人物が軒を連ねる。
武術派や宗教、その他の集団も多い。
それら雑多な「枠組み」がひしめく世界で、
「剣術と義侠」一本で渡る主人公。
自ら属する武術派にも苦しめられるのだが、
それも主人公の「自由さ」によるものだ。
陰謀渦巻く江湖の中で、
身軽な主人公が悩み苦しみ、
それでも生来の磊落な性格で
仲間を増やして苦難を乗り越える様は、
非常に胸がすく思いだ。
邪悪な陰謀がひしめく中で、
愛と義侠が生き残るのは、
お約束とは言え希望があふれる。
ラスト付近は展開が読めてしまったものの、
逆に「ああよかった」という安堵の気持ちが勝った。
お約束も悪くないなぁ、と感心したものだ。

はぁ。
すっごいさびしい。
もちろん今後も金庸小説は読んでいくが、
長編はもう天竜八部くらいしかない。
長編だからこそ、人物の成長や
政治のうねりなどが見れて面白いのに。
天竜八部はまだ文庫化されてないので、
それまでに短編を読みつくしておこう。

読後に糧となる本は多くないが、
今作は確かに心に残る物語だった。


蛇足だが、今まで読んだ金庸本だと、
1神剣侠
2笑傲江湖
3射英雄伝
4倚天屠龍記
の純で面白かったな。
やっぱり神剣侠の純愛は最強。
trackback(0) | comment(0) | 2008/09/05 Fri

小昭かわいいよ小昭

金庸著「倚天屠龍記」読破。
前作、前々作と、シリーズ物であるが故に
ラストは含みを持たせた終わり方だったが、
最終シリーズの今作も何故かすっきりしない終わり方。
ほとんどの謎も伏線も回収されたんだが、
主人公が教主になって隆盛極まった明教は、
内部のちょっとした裏切りであっさり瓦解したり、
エピローグでも、結局主人公の功績が報われない結末だったし、
不完全燃焼と言わざるを得ない。
主人公の恋愛の決着も、
なんだか完全決着な感じじゃないし、
モヤモヤしたものが残ってしまった。
面白かったのは確かなんだが、
前作、前々作に比べると見劣りはする。

主人公の性格も歯切れが悪い。
優柔不断すぎる。
常に他人に流され、自分でもそれを自覚しているが、
いざ決断を迫られると誰かを頼ったりしてしまう。
正義感と武術は凄まじいんだが、
兵法も無ければ政治も出来ない。
拳と人格だけで教主にまで登ってしまった。

女性に関してもだらしない。
中盤以降、4人程の女性と懇意になるが、
そのうち3人と結婚の約束までしてしまう。
裏切られては憎み、憎んでは許しの繰り返し。
「はっきりせぇや!」とこっちがやきもきしてしまう。

女性4人は大体クセの強い人物なのだが、
その内の1人、「小昭」というペルシャ教の教主だけは、
すこぶる純粋に主人公に尽くした。
教主だとわかるのは後半なのだが、
それまでは主人公の小間使いとしてせっせと働く。
主人公が他の女にふらふらしても、
文句も言わずにひたすらお世話する。
ペルシャ教主と分かり、主人公が
「もうそんな小間使いの仕事はしなくていいんだよ」
と言っても、
「ずっとおそばにいさせてください」
と言うような傅きっぷり。
すっごい可愛い。俺なら絶対小昭を選ぶ。
作者も巻末で、
「小昭と結ばれなかったのが悔やまれる」
と言うほどのお気に入り。
結局ペルシャに帰ってしまうことになったんだが、
一緒に行けばよかったのに……。
射雕シリーズの中でもベスト3に入るいい女の子でした。

読み終えて改めて思うが、
100年にも及ぶ壮大なストーリーが、
ついに終わってしまったのが凄く悲しい。
もうあの英雄好漢が活躍する世界にいられないなんて。
他の金庸小説も買ってあるし、読むつもりだが、
射雕キャラクターが出てこないもんな。さびしい。
ああ、さびしい。
このさびしさを紛らわすために、他の本に取り掛かります。

さ、読むぞ!
trackback(0) | comment(0) | 2008/08/18 Mon

何度も言うけど信じられん面白さ。

そういうわけで、金庸著「倚天屠龍記」を読んでます。
ってかもう全五巻中の四巻まで読んだので、もうすぐ終わり。
悲しい。
もうこの世界とお別れなんて……。
まぁまだ他にも別シリーズいっぱいあるんで、
いいんだけどさ。

相変わらずだが、主人公モテまくり。
前作主人公の、ちょいワルお調子者楊過と違い、
根が素直なイケメンである。
さらには初恋の女に裏切られたり、
両親が自刎したり毒で命の危機にさらされたりと、
若いくせに辛酸舐め尽くしているため、
達観した人生観を持ちながらも若いエネルギーがほとばしる。
義侠心も特に溢れており、まっこと男らしい男だ。
その上、九陽真経という裏技みたいな内功術を偶然会得したばっかりに、
出会う武術を片っ端から習得する主人公。
達人が十数年苦心しても辿り着けない境地に、
二時間程度であっさり到達した挙句、
太極拳の創始者と伝説される張三豊から
「太極拳」「太極剣」の二武術を付け焼刃で教わるも、
三回見ただけで覚えてしまうというチートっぷり。
射雕三部作の主人公の中でも、最も才能ある主人公だろう。
そりゃ悉く女も惚れるわ。

ついには、明教と呼ばれる、巨大な宗派の教主に
これまた成り行きでなってしまう。
素直で礼節もわきまえており、機転もそこそこ利くため、
年かさの部下も絶対服従するほどの名教主っぷり。
なんなんだこいつ。欠点が見当たらない。
ただ、こんだけスーパーマンなのに、
超人然とした傲慢さが見受けられない。
純粋さゆえに窮地にも度々陥るし、
泣きも迷いもする。間違いさえ起こす。
武力や能力だけではどうにもならないことがある。
正義や信念では正せない歪みもある。
濁りて清く、邪を以て正を成す事もある。
そういった、人や国、思想、信念の複雑な形を感じる。
単純に勧善懲悪な武侠物になっていないのが、
金庸小説の魅力なのではないかと思う。

あとはまぁやはりラブストーリーがメイン。
さまざまな女性が主人公に想いを寄せるが、
最終的に誰が選ばれるのかはわからない。
前二作では、序盤からもう伴侶の如き女性が登場し、
その女性との愛をどう貫いていくのかが見ものだったが、
今作に限ってはまだそういう関係にある女性がいない。
なので、主人公が一体誰を愛する事になるのか、
ワクワクして仕様が無い。
今のところどの女性もその可能性があるだけに、
期待は膨らむばかりだ。
まるでギャルゲーだ。自分でプレイしてないギャルゲーだ。
主人公が女性たちの間でふらふらしているのも、
まさにギャルゲーっぽい。
俺はこういうタイプの主人公はあんまり好まないんだが、
この主人公はホントにいい奴なので、幸せになって欲しい。


ある武侠小説のファンサイトで、
「本好きで、一度でも武侠小説を読んだ人は、
 このサイトを見る必要はない。
 なぜなら、確実に、その人はすでに武侠小説にハマっているからだ」
みたいな一文を見た。
まさに、と思わざるを得ない。
今まで出会わなかったのが悔しい程に、面白いのだ。
俺の人生観の軸を、軽くずらすくらい影響力のある世界だ。
人の生き方、男の生き方。
愛とは。信とは。礼とは。
作者の思想と、古代中国の儒教思想には、
現代に通ずる処世術が見える。

「過ちは之れを改むるに勝る善無し」
射雕シリーズの中で度々出てくる文句であり、
二作目主人公の楊過の字(あざな)「改之」でもある。
三部作の中から何かひとつ、教訓を見出せと言われたら、
とりあえずこれを挙げる。
当然の事ではあるのだが、忘れがちな事だと思う。
若い人は武侠に触れるべき。
そして何かを感じるべき。
trackback(0) | comment(0) | 2008/08/13 Wed
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