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本話。

小林泰三著「忌憶」読了。
「玩具修理者」や「人獣細工」のようなグチャグロさは無かった。
あっても、冷凍庫の人肉を食うくらいのソフトなもの(ソフトか?)。
小林泰三からグロさを抜くと、こんなんなるんだなぁ~と思った。
いや、良い意味でね?

三部構成の本。
最初の話は、主人公がひたすらダメ人間で、もうそのダメさが気持ち良く感じてしまった。
といっても、現実離れしたダメさじゃない。
俺や、きっと世間の若者もきっと少しこういうダメさを持ってるな、ってレベルのダメさ。
その、ちょっとしたダメさを総出演させて50%くらいパワーアップしたくらいのダメ人間主人公。
多分、自分より下等な人間を見ると嬉しくなるという人間の心理を突いてんのかしらと思う。
みんな、認めないけどね。

二本目は、その一話目のダメ主人公の元カノの彼氏が、腹話術にハマる話。
最終的に腹話術人形と精神が入れ替わってしまい、彼女の腹話術人形として生きる事になる。
う~ん、まぁ、主人公の死体が腹話術人形になったのは面白いけど、そこで終わっちゃったのが残念。
もうちょい長く書いてもよかったなと思う。

そして三話目。これが一番面白かった。
主人公は、一話のダメ主人公の親友。
一話でダメ主人公がヤンキーに絡まれている所を助けた時に、頭部を鉄パイプで殴られる。
前頭葉に障害を負った親友は、前向性健忘症になる。
この「前向性健忘症」とは、有名所では、映画「メメント」や「博士の愛した数式」の主人公のように、記憶が数分から数時間しか持たない症状の事です。
親友が気付くと、手元に一冊のノートがある。
それは、記憶が消える度にその場の状況を自分で書き取ったノートだった。
でまぁ、そのノートを頼りに、記憶がちょいちょい消えながら物語は進んでいく。
その過程が面白い。
この病気は、いきなりプツッと記憶が消えるわけではなく、古い記憶から徐々に消えていくらしい(ただし、事故前の記憶は残ったまま)。
さっきまで真剣に注意していた「人肉入り冷凍庫」の事をすっかり忘れて、中の肉をパクパク食べてしまう。
この人肉の食感や味の表現が、さすがはグチャグロ作家と思いました。

って、面白いとか言ったら実際この病気の人に大変失礼だな。
あくまで、小説として面白い、という事です。

しかし、この三話目は、最終的に何も解決されてない。
記憶が消え続けるこの親友にシンクロして、物語は明かされないのかと思ったんだが、どうなんだろう。
結果より過程が面白かったので、まぁ、いいんだけど。


小林泰三は短編が多いんだけど、俺の中で氏の最高傑作は「ΑΩ(アルファオメガ)」という長編だと思ってるので、またグチャグロ長編書いて欲しい。
「ΑΩ」はホントにうんざりするくらい前編グチャグチャのゲロゲロだった。
通常の人間の知覚を超えた痛さや状態ばっかだったので、逆に客観的に楽しめたな。
この作家はどちらかというと遅筆気味だと思うので、気長に待ってみまつ。



早く貴志祐介の「硝子のハンマー」文庫化しないかなぁ♪
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trackback(0) | comment(0) | 2007/03/21 Wed
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